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Article: 播州刃物の握り鋏は、何がいいのか。切れ味と、道具としての楽しさの話

播州刃物の握り鋏は、何がいいのか。切れ味と、道具としての楽しさの話

高いはさみは本当に違うのか。兵庫県小野市の播州刃物、利器材と総火造り、研ぎながら長く使う道具としての楽しさを店長目線でまとめました。

小野市店長の話手芸道具握り鋏播州刃物朝ラジオ洋裁道具生地のマルイシ糸切りばさみ総火造り
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こんにちは。生地のマルイシ、店長の石井です。

今日は、播州刃物の握り鋏についてです。

はさみって、100円ショップのものから、数千円、数万円するものまで本当にいろいろあります。そこで気になるのはやっぱり、「高いはさみは、そんなに切れるのか」というところだと思います。

正直に言うと、糸をちょんと切るだけなら、価格の差を毎回はっきり感じるとは限りません。今使っている糸切りばさみに満足しているなら、それで困らない場面も多いです。

ただ、布を切る、細かい作業を長く続ける、研ぎながら使う。そこまで含めると、いいはさみの見え方は少し変わってきます。

播州刃物は、兵庫県小野市の刃物です

播州刃物は、兵庫県小野市の刃物づくりから生まれたブランドです。

小野市は、昔から家庭用刃物の産地として知られてきた町です。なかでも握り鋏は、縫製工場や繊維関係の仕事が多かった時代には、今よりずっと出番の多い道具でした。

新しく工場に人が入れば、まず道具として握り鋏を渡す。そんな時代があったわけです。

でも、日本国内の縫製や繊維の仕事が少なくなるにつれて、握り鋏を日常的に使う人も減っていきました。使う人が減ると、作る数も減ります。作る数が減ると、職人さんも、材料を作る会社も、続けるのが難しくなっていく。

播州刃物の握り鋏は、そういう背景の中で残っている道具でもあります。

「利器材」と「総火造り」

握り鋏には、作り方にも違いがあります。

一般的な量産に近い作り方では、利器材と呼ばれる材料を使います。鉄と鋼をあらかじめ合わせた材料を使い、型で抜いて、研磨して、形にしていく。工業的な作り方ではありますが、刃物としてきちんと使えるように作られています。

一方で、総火造りと呼ばれる作り方もあります。これは、職人さんが火を入れながら、鉄に鋼を付けて形を作っていく方法です。日本刀の作り方に近い、と言うと少しイメージしやすいかもしれません。

総火造りの握り鋏は、数をたくさん作れるものではありません。見た目も、工業製品のように完全に均一ではなく、少しゆらぎがあります。そこを「味」と感じられるかどうかで、向き不向きが分かれる商品だと思います。

切れ味だけを数字で比べると、価格が倍なら切れ味も倍、という話ではありません。ここから先は、道具としての楽しさもかなり入ってきます。

いい道具を使っている、という気持ち

洋裁や手芸の道具には、実用性だけで語りきれないところがあります。

よく切れること。手に持ったときの重み。刃を閉じたときの感触。小さなハンマー跡や、手仕事の気配。「この道具を使っている」という気持ち。

そういうものが、作業の時間を少し楽しくしてくれることがあります。

僕自身も、釣り道具やカメラのレンズで同じようなことを感じます。必要最低限の機能だけで言えば、もっと安いものでもできる。でも、自分が気に入った道具を使うと、作業に入る気分が変わる。

握り鋏も、その近いところにある道具だと思っています。

糸を切るだけなら、差は小さいかもしれません

では、播州刃物の握り鋏は誰に向いているのか。

糸を切るだけなら、今のはさみで満足している方は急いで買い替えなくてもいいと思います。小さくて手元に置きやすい、ミシンまわりに置いてすぐ取れる、という使いやすさはありますが、切れ味の差を強く感じるかは使い方次第です。

差が出やすいのは、布を切る場面です。

たとえば、つまみ細工のように小さな布を切る作業。長刃の握り鋏で、細かく布を切っていくような使い方。こういうときは、はさみの切れ味や刃の持ちが作業感に出やすいです。

ちゃんと鋼が入っているはさみは、切れ味が落ちてきても研ぎ直しができます。買って終わりではなく、手入れしながら長く使う道具です。

古いはさみも、研げばまた使えることがあります

お母さまやご家族が使っていた裁ちばさみ、握り鋏が家にある方もいると思います。

切れなくなったから捨てる、の前に、一度研ぎに出してみるのもいいです。状態にもよりますが、古いはさみでも、きちんとしたものならまた使えるようになることがあります。

ただ、はさみの研ぎは包丁とは少し違います。包丁を研げる人でも、はさみを自分で研ぐと逆に切れなくなることがあります。大切なはさみなら、はさみの研ぎに慣れているところへ出すのが無難です。

播州刃物の産地である小野の組合でも、研ぎ直しサービスがあります。長く使いたい方は、そういう選択肢も知っておくと安心です。

買う前に知っておいてほしいこと

播州刃物の握り鋏は、ピカピカで、完全に均一で、いかにも規格化された商品とは少し違います。

もちろん、道具としてよくできています。よく切れるし、長く使える。でも、手仕事のゆらぎがあります。そこを含めて好きになれる人には、とてもいい道具です。

「とにかく安く、すぐ買い替えられるものがいい」という方には、別の選択肢のほうが合うかもしれません。

「長く使える道具をひとつ持ちたい」「作業机に置いて、少し気分が上がるものがいい」「研ぎながら使う道具に興味がある」

そんな方には、播州刃物の握り鋏は一度見ていただきたい商品です。

道具は、必要だから買うものでもありますが、使うたびにちょっと気分が上がるものでもあります。気になっていた方は、商品ページも見てみてください。


播州刃物の握り鋏、そり刃、裁ちばさみをまとめて見たい方は、播州刃物の一覧からどうぞ。

何か作ったら @maruishi または #生地のマルイシ で教えてくださいね。

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